崎 直浩さん(商学部4年)
コロナ禍でも諦めず、イギリスへの交換留学の夢を実現
~ITを武器に国境を越えて活躍できる人材になるという新たな夢に向かって~
【プロフィール】
2019年3月に関西学院高等部を卒業。同年4月関西学院大学商学部に進学。高校時代に、イギリス英語を習得したいと思い立ったことをきっかけに、独学で英語力向上に励み、交換留学渡航時までに、TOEIC®980、実用英語検定1級、IELTS7.5を取得。コロナ禍でもイギリス留学の夢を諦めず、2021年秋学期からイギリスのバーミンガム大学にてオンラインでの交換留学を開始。2021年10月ごろより現地に渡航し、2学期間の交換留学を実現。
このページの目次
1.はじめに
■なぜ関西学院大学商学部への進学を決めたのですか?
将来は国境をまたいでグローバルに活躍できる人材になりたいと考えており、国際学部と悩みましたが、ビジネスについて学ぶことは、就職先や職種に関係なく社会人として必要な基礎知識であえると考え、それを学問的に詳しく学ぶことができる商学部への進学を決めました。
■外国への渡航経験や、国内での国際交流の経験があれば教えてください。
高校生の時にオーストラリアにて、2週間の英語語学研修に参加しました。
2.所属学部・キャンパスでの学び(ホームチャレンジ)
自らのキャリア形成の軸となる充実した学び
■商学部ではどんなことを中心に学びましたか?
マーケティングと情報分析を中心に学びました。大学2回生まではマーケティングを重点的に学んでいましたが、現在のゼミ担当教員である地道正行教授に出会い、それからは情報分析を中心に学ぶようになりました。
■商学部で印象に残った授業について教えてください。
プログラミング言語であるRを用い、データベースの操作や可視化を通して、実際のビジネスデータを分析する「ビジネスデータ分析」という授業です。この授業では、プログラミング言語Rや実際にITの現場でもよく使用されるデータ操作言語であるSQLを使用する機会があります。授業を担当されていた地道教授の下では、データ分析を実際に行う中で、コーディングやシステムインフラの知識、それに付随するスキルを獲得することができると考え、地道ゼミを志望するきっかけとなりました。
また、可視化の方法を工夫するだけで、示唆に富んだデータ分析結果を出力できるのかについて学んだ際、データやITが持つビジネスや社会に対する力を感じました。大学入学前から、自分でパソコンを組んだり、Linuxに触れたりしてITに興味があったということもあり、この授業がきっかけで就職先としてITを意識し始めました。
■商学部以外の科目(全学開講科目等)で印象に残った授業について教えてください。
カナダの協定大学の学生と協働して学ぶ
「Cross-Cultural College」
(*注1)の修了証プログラムの必須科目として位置付けられている「CCC Introduction to Multicultural Studies」が印象に残っています。これは、多文化主義について学ぶ授業であり、「文化」「民族」とは何かといった定義から、異なる文化を持つ人々がどのようにコミュニケーションを取り、共生していくべきかを探っていく授業でした。受講前までは、来たる多文化社会について曖昧な理解しかなく、海外の人と話す際にも、ただ英語を話すことを目的としており、特に文化の違いを意識しながらそれを行うことはありませんでした。この授業は、私が異文化間コミュニケーションに興味を持ち始めるきっかけとなり、さらには異なる文化や背景を持つ人々とともに働いていきたいと考えるきっかけとなりました。また、異なる文化、背景を持つだけで物事の見方の違いに大きな差が生まれることを認識できた結果、クリティカルシンキングなどのスキルも付き、より物事や人々の意見に対して柔軟な考えを持つようになったと感じています。
(*注1)CCCは、関学とカナダの4つの協定大学(マウント・アリソン大学、クイーンズ大学、トロント大学、ウェスタン/キングス大学)が協働で運営するバーチャル・カレッジ。関学生とカナダの4大学の学生を対象に提供する「修了証プログラム」では、両国の学生が協力して、企業等から与えられるビジネス課題に対する解決策を立案する実践的な科目が中核に据えられている。
■自分自身の人生、キャリアに影響を与えた授業について教えてください。
前述した商学部の「ビジネスデータ分析」はIT業界を就職先として非常に魅力的であると考える一つのきっかけとなり、全学開講科目の「CCC Introduction to Multicultural Studies」は英語を用いて異なる文化を持つ人々と働きたいという私の就活における軸の一つを形成するきっかけとなりました。
また、情報分析を専門とする地道ゼミでの活動を通して、IT業界の中でも営業職ではなく、システム開発に携わる職種に就きたいと考えるようになりました。ゼミ活動では、情報分析で中心的に使用するプログラミング言語Rだけでなく、Linuxシステムの概要についてなど通常の文系学部では学べないことを学ぶ機会がありました。また、それをきっかけに自分でPythonなどの他のプログラミング言語を学んだり、実際にLinuxの運用を行うようになったり、私のIT業界に対する就職への希望をより高めるものとなりました。
情報分析を行うにおいて、単にツールを使えるようになるだけでは不十分であり、コンピュータシステムの基礎なども理解している必要があるという地道教授の教えのもと、ITの踏み込んだ知識を自主的に学んでいきました。さらに、コンペティション参加時などにおける情報分析に関しては教授が常に道筋を示して私達がそれに従うのではなく、自分たちで分析方法を模索していき、アドバイスが必要な時のみ教授がサポートしてくださるという流れであったため、まず自分の力でとりあえず挑戦してみるというマインドセット、そして課題解決力が飛躍的に向上したと考えています。
3.インターナショナルプログラム①Cross-Cultural College(CCC)(アウェイチャレンジ)
カナダの学生とオンラインでの協働体験
■なぜCCC Global Career Seminar in Japan(*注2)の履修を決めたのですか?
前述したCCC Introduction to Multicultura Studiesでの学びを実践することで、知識をスキルに変換するためと、留学に向けての準備です。海外大学の学生達と実際に議論しビジネスプランを立て、プレゼンテーションを行うことは、留学時に現地大学にて課されている課題と似ていると考え履修を決めました。またこの科目はオンラインで提供されていたのですが、コロナの影響で実渡航での交換留学が叶わないことも想定し、せめて就職までに、海外の人と協働する経験をしたいと考えていました。
(*注2)日本とカナダの学生混成のグループを組み、企業・団体等から与えられる国際展開等に関する課題について解決策を立案するプログラム。企業・団体等の方の考え方に触れることにより、ビジネスならではの視点を学びつつ、多国籍な場での合意形成を体感する。
■オンラインで実施したプログラム内容について教えてください。また、プログラムを通してどんな学びがありましたか。
異文化間コミュニケーションの基礎とビジネスの基礎、ビジネスプランニングにおける基礎を学んだ後、数日間かけカナダの協定大学の学生達とチームになり、提携企業が用意したビジネス課題に対して、メンバーで議論し最終的にビジネスプランを立てるワークショップを行いました。プログラム前に立てた前述の目標を達成できたと感じており、実際に異文化間コミュニケーションを用いて、協働する経験及びイメージを持てたことは私の将来のキャリア選択の助けだけでなく、留学経験の向上に繋がったと感じています。
初めての異文化間での協働であったわけですが、ワークショップの時間が限られており、作業は難航を極めましたが、結果的に自分の言語力や学んできた異文化間コミュニケーション力、課題解決力などを試される機会となりました。各メンバーのコミュニケーションスタイルを考慮し、オンラインであるため全員が議論に対して同じ理解を持てているかを確認しながら議論の進行を行ったり、時差を考慮して個人個人に割り当てたタスクの進捗管理をこまめに行ったりといった具体的な工夫を行いました。
また、プログラムでは積極的に意見を発することを求められましたが、そのような行為に今まで全く慣れていなかったものの、最終的には問題なくできるようになりました。留学先でもそのように振る舞うように求められるため、このような学びを渡航前に経験できて良かったと感じています。
■オンラインでの実施であったからよかったこと。苦労したことがあれば教えてください。
実際に社会で働き始めた後も、海外の人とコミュニケーションを取る際はオンライン上で行われる可能性が高まっている中、このような経験ができたことは貴重であったと感じています。ただ、やはりオンライン上では非言語コミュニケーションをうまく行うことが難しかったと感じました。特に参加者全員の理解度の確認や議論にどこまで興味を示しているのかなどを察することが難しく、そのため全員が議論に対して同じ理解を持てているかを確認しながら議論の進行を行う必要がありました。
4.インターナショナルプログラム②交換留学(アウェイチャレンジ)
コロナ禍でも諦めることなくイギリス留学の夢を実現
■2021年9月よりイギリスのバーミンガム大学への交換留学(オンラインでの科目受講から開始し、学期途中から実際に渡航)に参加されました。コロナ禍でも心折れることなく、留学への希望を持ち続け実現されましたが、コロナ禍での留学で大変だったことについて教えてください。
大学入学時から、イギリスへの交換留学を目標に、履修計画を立て準備をしてきていました。前述したCCCのプログラムへの参加もその一環でした。また、留学先大学の選択肢を広げるためにも、必要GPA取得やIELTSスコア獲得のための準備も行っていました。大学2年になった2020年にCovid-19の感染拡大が始まり、留学の実現が絶望的になったこともありましたが、交換留学が大学生活の中で最も大きく重要な目標であったため、交換留学の実現を諦めませんでした。
2021年9月からバーミンガム大学でのオンライン交換留学を開始したのですが、オンライン留学においては、現地学生と交流を持つ場が十分に持てなかったり、Zoomなどのアプリケーションが留学先大学において上手く動作していなかったりといったオンライン特有の問題に苦しみました。どうしても実渡航の夢が捨てきれず、10月頃大学から渡航の許可を頂き渡航が叶いました。イギリスに渡航した時、既に現地ではマスク着用の義務もなく、コロナの存在を全く感じることのない生活を送ることが可能となり、渡航してからはコロナ禍での留学での苦労を感じることはありませんでした。
■オンラインでの交換留学から開始されましたが、実際に渡航したからこそ経験できたこと、学べたことについて教えてください。
現地学生や交換留学生との交流、そして現地での生活経験の2点であると感じています。
現地学生や交換留学生との交流について、現地イギリス人学生だけでなく、他国からの留学生とも交流を深めることができ、視野が広がるきっかけとなりました。出会う人々それぞれが全く違うバックグラウンドを持っていることで、日常会話をしているだけでも興味深く、ものの見方が非常に柔軟になったと感じています。現地では一人で旅行によく出かけていましたが、ふらっと地元の人しか行かないようなパブに入って地元の人と話をしたり、コンサートやジャズカフェに行って知らない人と話すことが多くあり、初対面の人とより躊躇なく話せるようになったことも一つの成長であると感じます。
現地では、4人の現地学生と共同寮に住んでいましたが、家事等は全て自分たちでする必要があり、実際に現地の人々がどのように生活しているのかを体験することができました。将来的に海外で働く人材になりたいと考えている自分にとって、非常に有用な経験であったと感じています。
異文化間コミュニケーションを渡航前に学んだことで、イギリスにおいてもコミュニケーションを一般的に円滑に行うことができ、結果様々な視点をもつことができたと感じています。
5.卒業後の進路と今後の夢
ITを武器にグローバルに活躍するという新たな夢に向かって
■卒業後の進路や将来の目標を具体的に教えてください。
ITを武器に国境を越えて活躍できる人材になりたいと考えており、卒業後は外資系のコンサルティング会社に就職する予定です。具体的には異文化間コミュニケーションを多用するプロジェクトマネジメント等に関わっていくことができればと考えています。
6.後輩へのメッセージ ~さいごに~
■関学の後輩、そして今後関学への進学を志す高校生に向けてメッセージをお願いします。
特にグローバルな学修経験をしたいと考えているのであれば、関西学院大学はその機会に溢れています。私が経験した交換留学やCCC以外にも、多様な国際教育プログラムが提供されています。それぞれのニーズに合ったものがきっと見つかると思うので頑張ってチャレンジしてみてください!