堀 明音さん(国際学部4年)
~ フランス留学とカンボジアでのボランティア活動に参加 ~
【プロフィール】
2015年岐阜県の聖マリア女学院高等学校を卒業。中学3年生の夏にオーストラリアでの2週間のホームステイプログラムに参加したことがきっかけで、長期海外留学や海外でのボランティア活動に関心を持つ。高校1年次にカナダへ1か月留学、高校2年次にはフランスの公立高校で1年間の長期留学を経験。
2015年4月、東南アジアでボランティア活動をするという目標を持ち、関西学院大学国際学部アジア研究コースに進学。大学2年次秋学期にフランス・リヨン第2大学で1セメスターの交換留学を経験、3年次春学期にはカンボジアでの国際社会貢献活動に参加。在学中に2つのインターナショナルプログラムに参加し、「ダブルチャレンジ」修了。卒業後はWebエンジニアとして就職予定。
1.関学キャンパスでの学び(ホームチャレンジ)
大学の授業を通して新たな世界と出会う
■国際学部ではどんなことを中心に学びましたか?
1年生、2年生では、地域を問わず国際的な政治や経済、文化等を学び、3年生からアジア諸国に地域を絞って関連する講義を履修しました。
私は特にジェンダーやセクシュアリティに関心があったため、3年生の時にはそういった分野を中心に学びました。中でも、「アジアの女性とジェンダー」、「北米の女性とジェンダー」という授業がとても印象に残っています。同時期にこの二つの授業を受講していたのですが、異なる地域におけるジェンダーや女性の社会的役割の歴史などについて比較できたことがとても面白かったです。北米の女性とジェンダーの授業は英語で開講されており、日本人の女性の先生が英語で強くジェンダーのことについて語っていたのがとても印象的でした。この授業を通して「性」を考えるということは、「自分」を見つめなおすことなのではないかと感じました。
■国際学部以外の授業で印象に残ったものについて教えてください。
国際ボランティアに参加するためには、途上国に関する授業や、問題発見・解決力を身につける授業を複数科目履修し備えていく必要がありました。その中のひとつ、「国際情報分析」(*注1)は、ひとつの時事問題に関するニュースをいくつかの視点から見て、情報を自分の目で正しく分析し理解する力を鍛える授業でした。学年も学部も異なる人とチームを組み、1学期間ほぼ毎日のように連絡を取り合い進めた授業は、今振り返っても大変だったなと思いますが、協調性やプレゼン力、またこの世の中に流れる情報を多角的な視点で見る力を身に着けることができたのではないかと思います。
(*注1)「国際情報分析」は 国際教育・協力センターが提供する全学科目 であり、国際ボランティアへの参加を希望している学生に、参加前後の学びを深めるために履修を強く推奨している科目の一つ。本科目以外にも、貧困、紛争、教育格差、環境問題など、地球規模で起こる問題解決に向かうために必要な基礎知識を養える科目を多数提供している。
■自分自身の人生、考え方に影響を与えてくれた教員との出会いがあれば教えてください。
私が所属している国際学部のゼミの平林先生です。国際学部でキリスト教学を担当されている先生ですが、全学科目の「北欧研究入門」という授業も担当されています。 大学1年生の時に「北欧研究入門」を履修し、北欧の社会や文化にとても関心を持ちました。交換留学先を北欧にしようかと迷ったこともありましたが、結局フランス語を極めたいという思いからフランスに留学したのですが、留学中ひとりでストックホルム、ヘルシンキ、オスロ、コペンハーゲンへ旅行しました。
帰国後、幸福度ランキングではいつも上位を占める北欧諸国の生活に隠された幸福の秘訣とは何かということを研究したいと思い、平林先生のゼミを選びました。ゼミが少人数ということもあり、とても丁寧にひとりひとりの学生と向き合ってくださいます。交換留学はフランスへ行き、カンボジアへボランティアに行ったので、そういった国々に関わる研究をするべきなのではないかと考えたりしましたが、平林先生は、最も関心のあることについて研究したいという私の思いをくみ取り、サポートしてくださる点でとても嬉しく思っています。
2.言語運用能力の向上(フランス語と英語)
ネイティブ教員による実践的なインテンシブ授業
■語学力を向上させるためにどんな授業を履修しましたか?
英語力を向上させるために、国際学部の必修の英語授業の他に、言語教育研究センターのネイティブ教員が担当する「Project-based Seminar in English (Career English)」や、「Culture and Society」という授業を履修しました。
フランス語については、「読み・書き・聞く・話す」という総合的な運用能力に重点を置いた、
『フランス語インテンシブ・プログラム』
(*注2)の中級レベルの授業を履修しました。フランス人の教授と、文学部フランス文学科の先輩たちに囲まれながらの授業はとても刺激的でした。また、私が留学予定の大学で既に留学を経験された先輩に授業を通して出会い、直接話を聞くこともでき、留学へ心構えをする助けにもなりました。
授業以外の部分では、
言語教育研究センターの視聴覚室
にあるフランス語学習教材を借りて勉強したほか、フランス映画をフランス語字幕で観たり、ラジオや動画サイトでフランス語に触れたり心がけるようにしていました。
(*注2)『フランス語インテンシブ・プログラム』は、実践的・総合的なフランス語運用能力の育成を目指し、言語教育研究センターが提供する少人数制の全学開講言語教育科目(事前申込制)。初級Ⅰ、Ⅱはネイティブ教員と日本人教員のチームティーチング、初級Ⅲおよび中級クラスはネイティブ教員のみ授業を担当。ドイツ語インテンシブ・プログラムも有る。
3.フランスへの交換留学(アウェイチャレンジ:インターナショナル)
大好きなアートや映画を通してフランスを学ぶ
■フランスでの 交換留学 では何を勉強し、どんなことを学びましたか?
高校2年生でフランスに1年間留学した際、一から身に着けたフランス語は大学の授業を受けられるレベルには達しておらず、アカデミックレベルのフランス語力を身に着けたいという思いから、二度目のフランス留学を決意しました。
交換留学先では、現代美術や映画、またフランス文学の授業を履修しました。当初、社会科学系の授業を履修しようと思っていたのですが、実際そういった分野の授業を受講してみたところ難易度が高く、また以前から、美術や映画など芸術に強い関心を持っていたため、美術や映画論についての授業を受講することにしました。フランスの映画史や現代美術、また現代文学を通してフランスの文化についても理解を深めることができました。
また、交換留学中、フランス語中期留学に参加していた本学の学生グループに交じって、現地の大学で日本語ボランティアの経験もしました。週1回、その大学を訪問し、日本人の先生が開講している授業でテキストを使いながら3~4人のフランス人学生の中に交じって日本語の勉強のサポートをしました。この授業を受けていたフランス人学生は基本的に日本の文化に関心があったので、彼らとの交流を通し、フランス人学生が日本をどのように見ているのかということについて知ることができました。またフランス語を教えてもらったり、日本語を教えたりなどお互いの勉強にもなったと思います。
多様な文化背景を持った人々の出会い
■留学の夢と現実、どんな経験をし、どんなことを感じましたか?
交換留学をしてよかったと思うことは、様々な文化背景を持つ人々に出会うことができたことです。私が住んでいた学生寮には年齢が異なるフランス人の学生が多く住んでいました。フランス人と言ってもオリジンがフランスではなく周辺国や中東、アフリカの人がたくさんいました。ひとつの話題に関しても様々なバックグラウンドを持つ人々が異なる意見を述べ議論することを体感できたことは私にとって大きな学びでした。
フランスはバカンスなど休暇が多かったので、ヨーロッパ各地に足を運びました。一人で旅行をする機会が多く、毎回異なる土地で異なる言語が飛び交う中でハラハラドキドキでしたが、現地の人に助けてもらいながらどうにか特に痛い目に逢う事もなく旅行をすることができました。
もちろん理想と現実が異なっていたこともあります。留学前、私は大学での交換留学でも高校留学の時と同様に学校でフランス人の学生と交流できる環境にあると思っていました。しかし、その期待とは裏腹に高校時代の留学のようにはいかず、大学で現地の友人をつくるのは少し難しく感じました。留学生の友人をつくることはフランス語の授業等を通して可能でしたが、大学の通常の講義では人と関わることが多くなかったので、同じ大学で現地フランス人の友人をつくるのが困難でした。
留学中楽しいことも辛いこともありましたが、限られた時間をどうやって使うかということを常に考えていました。最初の方は毎日が新鮮で慣れることが必至でした。しかし段々慣れてくると時間を持てあますこともあり、その時間をどのように使うかを考えながら生活しなければすぐに留学生活は終わってしまうのだと実感しました。
4.国際社会貢献活動(アウェイチャレンジ:インターナショナル)
シェムリアップのNGOで広報活動のボランティア
■なぜ、 国際社会貢献活動 (*注3)への参加を決めたのですか?また、カンボジアでの国際社会貢献活動の内容を教えてください。
大学入学前から、途上国に長期滞在し、現地の人と関わる中で実際に途上国に存在する問題などを自分の目で見てみたいという思いを持っており、途上国でのボランティアへの参加に関心を持っていました。関学を進学先に選んだ理由のひとつも、国際社会貢献活動というプログラムがあったからでした。
私はアンコールワットがあるカンボジアの観光地として有名なシェムリアップにある、カンボジア政府と日本人有志が共同で設立した現地NGOで、主に広報活動を中心にボランティア活動をしました。具体的には、このNGOが支援している中学校やカフェでの広報活動でした。さらに、このNGOは世界遺産であるアンコール遺跡群のひとつ、バイヨン寺院で修復作業を行う日本政府からの修復チームの現地パートナーでもあったので、修復作業の様子等についての広報や、日本人観光客に向けての案内も行いました。また、本学から主に教育担当として派遣されていたもう一名のボランティア学生と一緒に、現地の中学で週一回ほど、日本語や音楽、美術等の副教科を教える活動もしていました。
(*注3)国際社会貢献活動は関学のスクールモットー“Mastery for Service”を体現する、創造的かつ有能な世界市民を育成することを狙いとした国際ボランティアプログラム。関学が独自に開発したプログラムで、途上国の国際機関、NGO、教育機関などに1セメスター派遣され、フィールド調査や広報活動等を行う。関学ではこの他、国連ボランティア計画(UNV)をはじめとする国連諸機関に学生ボランティアを派遣する、国連ユースボランティアプログラムも提供している。
「知ろうとする姿勢」の重要性を実感
■国際社会貢献活動に参加して、どんな学びがありましたか。
国際社会貢献活動を通して、異なる文化や価値観を持つ人々と一緒に生活するには「知ろうとする姿勢」が大変重要であるということを学びました。
私が派遣されていた地域では観光地化の進む市街地はとても栄えていました。その一方で、実際に支援に訪れていた中学校が所在する農村部は電気が通ったのも数年前であるといったように、地域によって生活環境等に大きな違いがありました。
観光客としてシェムリアップを訪れれば農村部のような生活は知ることができないかもしれません。しかし、知ろうと一歩踏み出すことで、そこに住む人々のことをより深く知ることができるのではないかと実感しました。この「知ろうとする姿勢」の重要性は同じく本大学から派遣された学生との共同生活でも実感しました。家族以外の人と生活を共にするのが初めてで、仕事もプライベートもほぼ一緒でした。生活をしていく中で、慣れない環境というのもあい増しながら、生活のしづらさというものを感じることがあったと思います。その時に感じたのが、相手のことを知ろうとすることの大切さでした。何気ない会話の中でもその人のことを知ろうとする姿勢を持てば、おのずとその人が何を感じ何を考えているのかということがわかるようになってきたように感じました。また、相手が心を開いて話してくれるのに対して自分も話をするといったように、関係が深まったように感じました。日本とは生活環境が大きく異なるカンボジアという土地で人々との交流を通して何事にも関心を持ち「知ろうとする姿勢」の大切さを学びました。
5.授業以外の国際交流
■授業以外に、学内で国際交流の経験がありましたか。
大学1年生の秋学期に 日本語パートナー をしていました。日本語パートナーに申し込んだ時点で既にフランスへの交換留学を決め応募していた段階だったので、できれば同じ大学からの留学生のパートナーをしたいと思いフランス人留学生を希望していました。希望通り、自分の交換留学予定先からの留学生がパートナーとなり、フランス語と日本語を互いに勉強しあったり、一緒に出掛けたりするなど、学外でも交流を深めました。
6.卒業後の目標と今後の夢
自問自答を続けて見つけたキャリアの第一歩
■卒業後の進路、そして今後の夢について教えてください。
卒業後は東京で、ホームページやアプリ開発を行うwebエンジニアとして働く予定です。
私は職種を選ぶ上でとても悩みました。留学を通して様々な国の建造物やインテリア、芸術に触れたことや、両親のインテリア好きの影響を受けてアート、特に家具に強い関心を持ったため、就活を始めた時は家具系の会社を考えていました。一方で、本当に自分が何をしたらよいのか分からず、「就職活動」の波に乗ることに抵抗を感じた時期が長くありました。せっかく交換留学やボランティアに行ったのになぜそれを活かすことができないのだろうともやもやとした気持ちを持ちつつも、自分が将来どういった生活がしたいのかということに焦点を絞り、考え抜いた結果、やはり交換留学やボランティアをしていた時に感じた、「海外で働き、海外で生活したい」という思いを強くしました。
そこで、海外を拠点に働けるようになるには自分に技術が必要であり、何か人の役にたつ技術を習得したいという思いと、カンボジアでのボランティア活動を通し、モノを作り出しそれを誰かに届けることの楽しさを実感していたので、それらの両立を目指せるwebエンジニアという職業を目指したいという結論にたどり着きました。
周りに同じような職を目指す人がおらず、また、初心者から勉強し技術を身に着けられるような会社が少なかったので、「本当に私はこれを目指すのか?」と自問自答を続けることもありましたが、自分の本当にやりたいこと、自分の決めたことを信じ、就職活動を進めることができました。
7.後輩へのメッセージ ~さいごに~
心が動かされることに正直になって行動しよう!
■関学の後輩、そして今後関学への進学を志す高校生に向けてメッセージをお願いします。
どの大学にしようか、どの学部にしようか、何を学び、大学で何をしたいかなど悩むことはたくさんあると思います。私自身も、大学、学部を選ぶ際とても悩んだ経験があります。いくつかの選択肢の中からひとつを選択するということはとても大変だと思います。しかし、自分のやりたいこと、心が動かされることに正直になり、周囲に何か言われようとも、行動してみることは新しい発見につながると思います。
関学には、多くの海外協定校があり、留学の機会が豊富にあります。また国際ボランティアにも力をいれており、充実した国際プログラムが提供されています。興味関心を持ったことに必ず挑戦できる環境が整っているので、皆さんもぜひチャレンジしてみてください!